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【Networking Day 2023:イベントレポート2】session3~外部人材活用が地域活性の鍵を握る福岡県の先進的な取り組みとは~

記事のまとめ

  • 福岡県では企業と専門スキルを持った人材をつなげるCXOバンクの事業を手がけている

  • 専門領域同士のマッチングは企業と外部人材の両方に相乗効果がある

  • 専門スキルを持った人材の採用は、タスクの切り出しが重要

副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォーム「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」は、サービスリリース1周年の節目となるイベントとして、「HiPro Direct Networking Day 2023」を2023年9月13日に開催。ビジネスで課題を抱える企業と専門スキルを持った人材とのマッチングのきっかけを生み出すことを目的に、4つのトークセッションおよび人材交流の場を設けました。

3つ目のセッションのテーマは、福岡県が手がける企業と外部CXO人材のマッチング事業「福岡県CXOバンク」についてです。福岡県での事例を紐解き、スタートアップ支援の実態を深掘りしました。

モデレーターは、パーソルキャリア株式会社 HiPro Direct for Local責任者の片山 徹之。登壇者として、福岡県商工部 新事業支援課 主事 堀 華納氏、ハインツテック株式会社 代表取締役社長 青木 睦子氏、福岡県CXOバンク マッチング第一号の沢井 昭司氏の3名をお迎えしました。

創業期における経営スキルを持った人材不足。その鍵として、「福岡県CXOバンク」をスタート

片山:本日は、「地方×外部人材」をテーマに、福岡県の事例についてトークセッションを進めていきます。福岡県では、福岡のベンチャー企業やスタートアップ企業と、事業拡大の知見を有する人材をマッチングさせる「福岡県CXOバンク」の事業を展開しております。今回は、その事業に携わっている方々にお越しいただきました。

まず、福岡県CXOバンクの取組について、福岡県商工部の堀さんにお話をうかがえればと思います。

堀氏:福岡県CXOバンクの取組について説明させていただきます。福岡県CXOバンクは、事業成長を加速させることを目的としたCXO人材と大学発ベンチャーやスタートアップとのマッチング事業です。

福岡県では、ベンチャー・スタートアップに高度な専門スキルを持った人材が不足しているという課題、特に大学発のアカデミックと関連の深いスタートアップでは、「技術はあるけど、事業をスケールさせていく高度な経営スキルが不足している」という状況がありました。

2021年に九州大学で大学発ベンチャーと高度な経営スキルを持った人材とのマッチング事業が展開され、その後「この事業を広く福岡県でも展開できないか」と声が上がったことを受けて、2022年に「福岡県CXOバンク」を立ち上げました。

マッチングの具体の実務は、パーソルテンプスタッフに委託をしております。サービスを利用したい福岡県内に拠点のある企業各社の申込みを受けて、パーソルテンプスタッフがその意向や条件等を確認。その後、CXOバンク登録者に案件を紹介し、登録者と企業とのマッチングを図っております。

マッチングにはCXOバンクの取組を多くの企業やCXO人材に知っていただくことが重要です。認知度向上のために、イベントの開催やオンラインでコミュニティを作るなど、この事業をより活用していただけるよう周知に努めています。

オンラインコミュニティでは、企業とCXO人材がオンライン上で協議し合う模擬経営会議を行っているのですが、この模擬経営会議から、ハインツテックさんと沢井さんのマッチングが成立しました。

現在、マッチング成立には至っていないものの、マッチングに向けて協議が進んでいる案件は10件ほどあり、取組の広がりに手応えを感じています。

片山:行政が主体となって外部人材のマッチング事業を手がけているのは、非常に先進的かと思います。どのような相談が多かったのか、またサービスを利用する企業の反応について、教えていただけますでしょうか。

堀氏:企業からの相談は、資金調達や技術系の人材を確保する方法だったり、知財に関係することだったりと、内容はケースバイケースです。

利用された企業さんからは、県が行っている事業のため、マッチングにかかる費用が少額で済み、サービスを利用するハードルが低いと評価いただいております。

企業側のメリットは「外部人材をお試しからスタートしやすい」こと

片山:ありがとうございます。続いて、福岡県CXOバンクで外部人材を採用したハインツテックの青木さんに、事業内容をお聞きできればと思います。

青木氏:ハインツテックで代表を務めている青木と申します。ハインツテックは、大学発のスタートアップです。共同研究先は、福岡県北九州市にある早稲田大学 大学院 情報生産システム研究科の三宅研究室になります。2021年に同研究室で生まれた技術シーズを事業化するべく起業しました。

皆さんの身体や植物などを構成している細胞、これらを加工する新しい技術を世の中に広めるために、ツールやサービスを提供しております。いわゆるバイオテックベンチャーです。

片山:専門知識やスキルが求められる領域かと思います。福岡県CXOバンクで外部人材を採用しようと思った理由について教えてください。

青木氏:私たちは、半導体製造に使われるような微細加工技術に強みを持ったマテリアルサイエンスの研究をしていました。その技術を活用して、バイオロジー領域で使用する専門機器を作ったのですが、バイオロジーとマテリアルサイエンスは異なる領域。製品を世の中に広めようと思った時に、どうしてもバイオロジー側の知見が不足している状況にありました。

そこで、バイオロジーに詳しい方にアドバイザーとして弊社に参画いただきたいと思ったのが、今回の人材活用へ乗り出すきっかけです。

私たちは、設立3年目のスタートアップです。フェーズはシード期で資金も潤沢にはないため、まず「お試し」の感覚で福岡県CXOバンクに登録しました。

以降、オンラインコミュニティ内にて開催された模擬経営会議を通じて、活用に至ったのです。

模擬経営会議が、通常行う1対1の選考と異なる点は、他の方の意見に対しての向き合い方や、多くの方がいる状況下での立ち振る舞い方がわかるという点ですね。

片山:模擬経営会議は、企業と外部人材のマッチングの場として効果がありそうですね。実際に、どのような条件でCXO人材の活用を開始されたのか教えていただけますでしょうか。

青木氏:まず、活用させていただいた沢井さんは関東居住のため、リモート勤務になります。半年ほどやり取りをしておりますが、直接お会いするのは本日で2回目です。

ミーティングの回数は、1〜2週間に1回。所用時間は、2〜3時間です。最初は、私と沢井さんと1対1のミーティングだったのですが、会議を重ねていくうちに当社の研究員も参加するようになり、大勢で楽しく話をしています。

自身の経験を活かして、企業の役に立てる

片山:ありがとうございました。続いて、沢井さんの話をお聞きできればと思います。福岡県CXOバンクに登録したきっかけを教えてください。

沢井氏:はじめまして、沢井と申します。個人としてベンチャー企業のお手伝いを約20年させていただいております。もともと九州大学のCXO人材募集時にエントリーさせていただき、福岡県の事業が始まった際にお声がけいただいたのが、始まりでした。

その後オンラインコミュニティに参加し企業と意見を交わす中で、ハインツテックさんの技術分野が自分が携わってきた技術分野と合致するとわかり、参画させていただきました。

片山:技術分野が合致したという点について、具体的に教えていただけますでしょうか。

沢井氏:もともとは知的財産関係の仕事をしており、知的財産、ライセンス契約、共同研究契約などに携わり、ベンチャー企業の研究会議などにも参加しておりました。一言で申し上げると、技術領域のコンサル業務です。

ベンチャー企業の立ち上げ期は、業務内容が整理されていないので非常に大変なんです。それは、技術領域も同じです。その立ち上げ期の喧騒の中で、複雑に絡み合った業務を整理するということを20年ほど経験してきました。

ハインツテックさんも当時起業して2年のベンチャー企業でしたので、なにかお手伝いできないかと思い参画しました。

片山:ハインツテックさんに参画されて約半年ですが、はたらいてみた感想を教えてください。

沢井氏:私自身も非常にやりがいを感じています。20年以上も前の話ですが、もともと私は基礎科学の研究者だったんです。そこから、バイオテクノロジー領域の知財の専門職に就きました。以降、アカデミックの研究者やベンチャー起業の発明や発見を「いかに事業化できるか」を考えてはたらいてきました。そこで培ったノウハウでお役に立ててうれしいです。

外部人材活用の魅力は、多角的な視点を得られること

片山:実際に外部人材を活用する上で重要だと感じた点について、お聞きしたいです。まず、青木さんにお話を聞いてもよろしいでしょうか。

青木氏:タスクの切り出し方、発注方法が非常に重要なポイントです。企業における課題を言語化して、「この領域でこういったアドバイスがほしい」と明確に伝えていくことがマッチングにつながっていくのだと思います。

片山:たしかにタスクを漠然と切り出すと応募しにくいでしょうね。続いて、堀さんに意見をお聞きしてもよろしいでしょうか。

堀氏:私も青木さんと同じ意見です。求める人材の条件を企業にヒアリングすると、「なんでもできる人がほしい」とおっしゃる方もいるのですが、そのような条件だとマッチングに至りにくくなります。どんな人材が今の自社のフェーズに必要なのか、その点を明確にすることが大事かと思います。

片山:最後に、外部人材活用の魅力について、教えていただけますでしょうか。

青木氏:一言で申し上げると、多角的な視点を企業に取り入れられることです。プロのスキルと経験を持った方々に参画いただくので、「ここに課題があると思ったけど、実は違った」など、自社だけでは気づかない観点から意見をいただけます。これから新規事業を手がける大企業にもおすすめだと思います。

堀氏:各企業が成長するフェーズには多くの過程があると思いますが、そのフェーズ限定でCXO人材を活用できるのは、多くの企業にとってメリットがあるのではないかなと思います。

片山:貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

(書き手:中 たんぺい/編集:永見 薫/監修:HiPro Direct編集部)

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▼HiPro Direct Networking Day2023のアーカイブ動画は、下記フォームよりお申込みいただくことでご覧いただけます。

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