イベント

|

Networking Day

プロ人材活用

副業・兼業

相互副業

【HiPro Direct Networking Day 2023イベントレポート4】session 4~相互副業の取り組みが、社員や組織にもたらす変化とは

記事のまとめ

  • 相互副業に参加した社員はモチベーションが上がる傾向にある

  • 相互副業で副業を受け入れた部署にも新しい視点が生まれる

  • 副業人材の受入と送り出しをすることで人事部としての知見も増える

副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォーム「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」は、サービスリリース1周年の節目となるイベントとして、「HiPro Direct Networking Day 2023」を2023年9月13日に開催。ビジネスで課題を抱える企業と専門スキルを持った人材とのマッチングのきっかけを生み出すことを目的に、4つのトークセッションおよび人材交流の場を設けました。

4つ目のセッションのテーマは、「大企業の相互副業の取り組みが社員や組織にもたらす変化とは」です。相互副業とは、企業同士が相互に副業人材を送り合う取り組みです。条件を定め、副業人材の送り出しと受け入れを実施した際に、組織にどんな影響をもたらすのか考察することを目的として、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の参画企業間で実証実験が実施されました。

本セッションでは、実証実験の内容やその後の考察についてトークが展開されました。

モデレーターは、パーソルキャリア株式会社 新規サービス開発統括 サービスシード部の得能 絵理子。登壇者はキリンホールディングス株式会社 人財戦略部の長嶋 亜美氏、三井情報株式会社 グループ人材開発部の山田 美夏氏、パーソルキャリア株式会社 人事デザイン部 の柴口 幸子の3名です。

実証実験の位置づけで相互副業をスタート

得能:まず、相互副業の取り組みについて説明させていただきます。相互副業は、同意した企業間で人材の送り出しと受け入れを副業という形態で実施する取り組みです。立候補、もしくは選出された社員が副業に取り組み、企業においてどのような影響があるのかを考察する実証実験です。2022年にスタートし、2023年1月には2回目の取り組みとして12社が参加する形で実施されました。

副業条件、人材要件は次の通りです。

<副業条件>

  • 職種:調査・レポート/アナリティクス/新規事業提案/企画立案/制度設計など
  • 就労期間:3ヶ月以下
  • 稼働時間:週1回以下
  • 出社形態:原則リモート
  • 報酬額:週1日未満の場合は月額5万円。週1日程度の場合は月額10万円(各社毎の契約に基づき決定)
  • 契約方法:各社と業務委託契約を締結
  • 備考:副業開始前後へのアンケートへの回答が条件

<人材条件>

  • 年齢:不問
  • 役職:リーダー以上
  • 経験:実務3年以上、社歴1年以上
  • スキル:担当領域における専門スキルを有しており、課題設定から解決策の提示まで自律自走できる

得能:それでは、相互副業を実施した3社の方に、具体例をお聞きしていこうと思います。まず、相互副業に取り組んだきっかけについて、三井情報の山田さんにお尋ねしてもよろしいでしょうか。

山田氏:三井情報では、2023年1月~3月に実施した2回目の相互副業実証実験に初めて参加しました。キャリアオーナーシップを全社で推進していくという方針の中で、今までも社内では副業を解禁していました。ただ、プロ人材の受入機会は少なかったため、ある意味実証実験の立ち位置で人事制度上の課題を探すきっかけになればと思い、相互副業の取り組みに参加しました。

得能:今後の情勢の中で、課題や副業の広がりを見据えて参加されたのですね。キリンホールディングスの長嶋さんは、いかがでしょうか。

長嶋氏:キリンホールディングスでは初回に続いて、2回目も相互副業の実証実験に参加しています。当社としては企業の越境体験により、社内カルチャーと従業員個人に多様な価値観や考え方が増えることを期待しております。また、相互副業による効果を定量化していきたいと思い、2年連続で実証実験に参加させていただいております。

得能:人事的な施策を継続していくためには、定量化は非常に重要な要素になりますよね。続いて、パーソルキャリアの柴口さんにお話をうかがえればと思います。

柴口:2回目の実証実験において、パーソルキャリアの窓口を担当した柴口です。1回目の実施の際には、人材の受入の担当をしましたが、2回目は案件の収集と副業人材の応募の受付を担当しました。

私たちパーソルキャリアは、社員の1割が副業を実施しており、将来的には全員が副業に取り組めるようにと考えております。

実は、2022年の第1回目に相互副業を経験したメンバーの中には、管理職へ昇格したり、起業したり、社内の起業プログラムで優勝したりと、さらに活躍の場を広げた方もいます。

副業が個人に与える経験は大きいと判断していますが、個人でゼロから副業を開始するのは難しいですよね。その点、相互副業は会社として社員の副業を後押ししやすいと考え、参加させていただいております。

副業人材の受入は企業にとっての財産にもなる

得能:各社副業人材の受入を実施されたかと思います。どのような領域で業務の切り出しを行ったのか、まずは三井情報の山田さんにお聞きしてもよろしいでしょうか。

山田氏:当社は、初めての副業人材の受入ということもあり、実証実験に参加する際の案件は、人事と経営企画の領域に限定しました。経営戦略と人材戦略の両輪で双方の部門が連携しており、受入のフォローアップがしやすいと考えたからです。案件については、社内での検討を進めた結果、介護施策の拡充に向けた企画・提案、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)アドバイザリー、Webコンテンツの調査・企画・立案、これら3つで専門人材の受入を行いました。

得能:副業人材にどの業務を任せるかは、多くの企業様も悩まれていることかと思います。苦労したことについて教えていただけますでしょうか。

山田氏:はじめのうちは、条件にマッチした人材が担う業務を創出するのに苦労しました。抽象度合いを広げすぎてもよくありませんし、業務の範囲を限定しすぎると他の企業から人材がやって来ませんよね。受け入れ先になる部署と話し合いを重ねましたし、お任せする業務の範囲を決めるのが難しかったです。

得能:ありがとうございます。キリンホールディングスさんは、どのような領域で副業人材の受入を行ったのでしょうか。

長嶋氏:会社としてチャレンジ、ないしは成長させていきたい領域であるヘルスサイエンスの新規事業で、新しい刺激や知見を部署に吸収してもらいたいという思いのもと、副業人材を募集しました。

任せる業務の範囲は、受入先の部署に一任しました。これから外部人材の受入が増えると予想される中で、部署にもナレッジを構築して欲しいというのが大きな理由です。

得能:副業人材の受入を多く行っている、パーソルキャリアの柴口さんはいかがでしょうか

柴口:パーソルキャリアとしては、副業人材の受入を多く行っていますので、業務の切り出しはスムーズに進みました。副業人材の受入に関しては、スケジュールと業務フローガイドを作って皆さんに展開し、事前に学んでいただきました。これは人材の送り出しの際も、同様のプロセスです。

副業の経験は本業へのモチベーションアップにつながる。

得能:副業人材の送り出しをする際に、人事として気をつけていたポイントをお聞きできればと思います。まず、パーソルキャリアの柴口さんからお聞きしてもよろしいでしょうか。

柴口:今回1名だけ、当社サイドから「この仕事はあなたの専門性が活かせるから、ぜひ応募してみませんか」とお声がけしました。その方とは、実証実験中に1 on 1でミーティングを実施し、業務の進捗状況を聞いたり、フォローをしたりしていました。また本人と相談して、相互副業で実施した内容を部署の中で発表してもらいました。

得能:副業で経験したことを社内に伝えると、本人にとってもポジティブな影響がありそうですね。

柴口:そうですね。副業先は、正社員で勤めている会社とは事業内容もカルチャーも異なります。そのため、相手企業のカルチャーを理解し、価値観をすり合わせて成果を出す必要があります。また本業で発表する際には、相互副業で学んだことを自社のカルチャーの文脈に置き換えて伝えていかなければなりません。短期間で2つのカルチャーと言語を理解したことは、従業員にとって刺激的な経験になったと思います。

実際に、相互副業を終えて以降、実証実験に参加した社員は活力に満ちあふれており、ひとつ成長したように感じます。

得能:相互副業を通じて、社員のエネルギー量が増えたのですね。組織への還元も大きそうですが、キリンホールディングスさんはいかがでしたでしょうか。

長嶋氏:当社では、1回目は当社サイドからの推薦にて選定しており、2回目は公募にしました。公募の際には約50名の応募があり、その後面接を実施し、最終的に参加したのは12名です。相互副業を終えた後は「自信につながった」と感じ、意欲的にオンライン上でその経験を社内に発信してくださいました。

このような状況を見ていると、企業を超えての越境経験は、自律的なキャリア観、個人の多様性を育むのだと思いました。組織への還元が非常に楽しみです。

得能:副業を解禁すると「企業から人材が流出していってしまうのでは」という懸念もありますが、実際は視野が広がって、本業でも活躍していく方が多いのかなと思っております。今、この言葉にうなずいていらっしゃる柴口さん、いかがでしょうか。

柴口:昨年のレポートでもわかったことなのですが、実際に他の企業ではたらいてみたら「自社のいい部分に気づけた」と答えてくれた方が多かったです。「応援してくれる上司や同僚の存在にも気づけて、エンゲージメント向上にも繋がる」ということがわかっています。

長嶋氏:まさに柴口さんのおっしゃる通りで、当社でも同じような傾向が結果として見えています。2回目の実証実験を終えてレポートをまとめているのですが、相互副業に参加した方の本業へのモチベーションは上がっている傾向が見えています。三井情報さんで副業をした社員は「自社の社内の課題が客観的に見えるようになった」とも言っておりました。

相互副業の成果は思った以上に大きい

得能:各社それぞれに、相互副業に取り組まれた意図がありました。実際に取り組んだ感想についても教えていただけますでしょうか。

山田氏:相互副業の取り組みに参加して、本当によかったと感じています。例えば、キリンホールディングスさんの社員の方は、予想以上のクオリティで介護施策拡充の提案をしてくださいました。現在、その提案してくれた制度について、採用できないか社内で検討しています。

また今後は、副業人材を活用する機会が増えるかと思いますので、その活用フローをあらかじめ体験できたことも大きいです。他社さんも副業人材の活用には強く関心を持っているため、副業人材の受入について会社を越えて意見交換や情報交換をするなど、人事間での交流も活発になりました。

得能:副業人材の受け入れも広まればと思います。長嶋さんは、いかがでしたでしょうか。

長嶋氏:社員からは「3ヶ月は短い」「もう少しやりたかった」という声が挙がりました。ただ、実証実験の観点で総括すると、受け入れた部署、社員ともにポジティブな声が多く挙がったと実感しています。副業に応募する社員も多く、チャレンジスピリットの風土作りにもつながったのではないでしょうか。人事としても、こういう場を作ることができて、社員を送り出し、従業員とのコミュニケーションのきっかけにも繋がり、非常に手応えを感じました。

得能:最後に、柴口さんが感じたことを教えていただけますでしょうか

柴口:このような機会で相互副業先の企業とお話をさせていただく度に、お礼の言葉を頂戴します。社員を無事に送り出し、良い影響を与えられて人事としてほっと胸をなでおろしております。今後、相互副業の実証実験の3期目がスタートする予定です。規模も拡大するため、今度はどのように挑戦しようかとワクワクしております。

(書き手:中 たんぺい/編集:永見 薫/監修:HiPro Direct編集部)

▼HiPro Direct Networking Day2023のアーカイブ動画は、下記フォームよりお申込みいただくことでご覧いただけます。

あなたにおすすめの記事

Recommended

新着記事

New Articles

ランキング

Ranking

Follow Us

SNSをフォローして、お役立ち情報や最新のイベント情報を受け取りましょう

HiPro Direct

業界最大規模の転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリア株式会社の
副業・フリーランス向けマッチングプラットフォーム「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」では、 様々なお悩みを解決し、あなたらしい働き方の実現を応援します。

  • 累計10,000人以上の
    副業者・フリーランスが登録

  • 日本を代表する大企業の
    副業案件も多数掲載

  • 地域副業に特化した
    コンテンツページも充実

  • 土日、週1、フルタイムなど
    さまざまな働き方が選べる

  • 掲載案件のうち90%が
    リモートワーク可能なお仕事

  • 短期1時間/回のスポットコンサル案件から
    副業可能(報酬1万円~/H)

HiPro Direct

HiPro Direct(ハイプロダイレクト)は、
dodaを提供する人材サービス大手
パーソルキャリアが運営しています。
私達は「はたらいて、笑おう。」を理念に持ち、
みなさまのキャリアに対する不安やお困りごとを
解決すべく、
また、その先にあるご自身のキャリアを
自ら描けるよう
「はたらく」を自分のものにすることを
応援いたします。