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プロ人材活用

積水化学が新規事業創出の社内ビジネスコンテストを開催。「HiPro Direct」を使ったプロ人材の活用方法とは

記事のまとめ

  • 積水化学は全社横断で新規事業を創る仕組みが必要と考え、社内ビジネスコンテストである「C.O.B.U.アクセラレーター」を開催

  • 限られた時間の中で、どれだけ多くの市場の声や専門家の意見を聞くことができるかが非常に重要。知見があり気軽に相談ができる「HiPro Direct」でプロ人材の活用を決めた

  • プロ人材を上手く活用しながら事業を進めることが日常になれば、会社全体の事業推進力が強化されていくはず

ここ数年のトレンドでもある「働き方の多様化」。会社員の副業に対する意欲やニーズは高まり、社員の副業を許可・推奨する企業も増えています。一方で、副業人材やフリーランス人材といった専門性の高いプロ人材を受け入れ、活用している企業は市場においては少数派です。

こうした状況の中、化学業界におけるリーディングカンパニーである積水化学は、新規事業創出のためにビジネスコンテストを実施。その過程で発生するユーザー調査などでパーソルキャリアの副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォームサービス「HiPro Direct(ハイプロ ダイレクト)」を活用し、プロ人材を受け入れています。

積水化学がプロ人材の活用や「HiPro Direct」の導入を決断した背景、外部人材の受け入れに際して心掛けたこと、プロ人材との協業によって得られた成果やメリットは一体何なのでしょうか?

これらを紐解くため、積水化学で新規事業の社内ビジネスコンテストを主催する新事業開発部イノベーション推進グループでグループ長を務める鈴木智裕(以下、イノベーション鈴木)氏と、C.O.B.U.アクセラレーターユニットのユニット長を務める吉田圭佑氏に、HiPro Direct事業責任者を務める 大里真一朗がお話を伺いました。

スピーディーに専門的な人材を活用して事業を創るために「HiPro Direct」を活用

ーーまず、新規事業創出のビジネスコンテストについて、開催背景と理由を教えていただけますか?

▲C.O.B.U.アクセラレーターユニット ユニット長の吉田氏

吉田氏:ビジネスコンテストを開催した背景には、積水化学で掲げている長期ビジョン「Vision 2030」の実現に向けた想いがあります。

積水化学の「Vision 2030」は、2030年には当社グループの業容そのものを倍増(売上2兆円、営業利益率10%以上)させるというビジョンです。そのためには、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸に、「製品・事業の革新による現有事業の拡大」と、「新事業基盤の創造・獲得による新たな事業の創出」を両立させ、イノベーションを起こし続けることを目指しています。

ビジネス規模を倍増するためには、既存の事業を成長させるだけではなく、新規事業を開発していく必要があります。これまでも新しい事業を生み出すための試みは行ってきましたが、それぞれの事業領域で上手く機能するプロセスが出来上がっているため、新規事業が生まれづらい状況でした。そこで今回、全社横断で新規事業を創る仕組みが必要と考え、社内ビジネスコンテストである「C.O.B.U.アクセラレーター」の開催に至りました。

ーービジネスコンテストはどのようなスケジュールで進んでいるのでしょうか。

吉田氏:新規事業創出のためのビジネスコンテストは、2022年の4月から、積水化学グループ約2万6,000人の従業員を対象としてスタートしました。スケジュールとしては、最初の1年で企画の見極めを行い、次の1年で事業の開発を進めていく予定です。

具体的なスケジュールとしては、4月と5月の2カ月で公募を実施し、6月に募集したアイデアの中から20件を採択。7月から約3カ月の期間をステージ1として、アイデアの仮説検証を行い、9月に審査会を実施の上、採択案件を3件にしぼります。

9月から翌年の3月までの半年間はステージ2として、採択された3件のビジネスモデルの市場検証を実施。その後、3月末に再び実施する審査会にて1件を選抜し、1年かけて事業化の準備を進めていきます。このようなサイクルで毎年、ビジネスコンテストを実施する予定です。

ーービジネスコンテストはまだスタートしたばかりで、現状としては9月の審査会に向けて、各チームが動いている状況だと思います。社内からの反響はいかがですか。

▲イノベーション推進グループ グループ長のイノベーション鈴木氏

鈴木氏:社内からの反響に関しては、非常に手応えを感じています。当初の想定の倍以上の応募が積水化学グループ全体から集まり、社内での関心度も一気に高まりました。これは多くの社員が「Vision2030」に共感し、健全な危機感を持っていることを意味すると思っています。そういった社員の「想い」が集まったことは大変嬉しいことですし、その「想い」を何とかカタチにしたいと改めて決意しました。

ーービジネスコンテストでプロ人材の活用を決めた理由について教えてください。

吉田氏:7月~9月のステージ1は本業と平行してアイデアの仮説検証を行います。限られた時間の中で、どれだけ多くの市場の声や専門家の意見を聞くことができるかが非常に重要なため、知見があり気軽に相談ができるプロ人材の活用が必要と考えました。

ーー「HiPro Direct」を導入した理由を教えてください。

吉田氏:最も大きな理由は、相談を始めてから目的に合ったプロ人材を紹介してもらえるまでのスピードです。

3カ月という短い期間で多くのプロ人材から話を聞くためには、クイックかつ的確なマッチングと、効率的なオペレーションが非常に重要になります。マッチング精度とスピードの両方を実現できるというところが大きなポイントでした。

大里:「HiPro Direct」のサービスを提供している私たちとしても、事業への知見を持った人材をいかに早く紹介できるかという部分は重視しています。マッチング率の高いプロ人材を紹介できるように、仕組みを作っています。

徹底した社内への周知で、ビジネスコンテストのブランディングを強化

ーーグループ全社員を対象としたビジネスコンテストとのことですが、それだけ大きな規模で実現できた理由について教えていただけますか?

吉田氏:積水化学が2023年に発表した3か年の新中期経営計画で「持続的成長」と「仕込み充実」を両立させる方針を打ち出しました。この「仕込み」においてはコーポレートが担うべき役割が大きく、現行の事業部が「持続的成長」を中心に取り組み、我々コーポレート機能が仕込みを充実させる。それぞれの役割分担を明確にできたことは制度をグループ全社に展開する後押しとなりました。

また、特に新規事業創出の初期フェーズである「顧客は誰か?」「課題は何か?」を考え、仮説を立て、顧客へのヒアリングを重ねて検証する、というプロセスは職種や役割に関わらず全ての社員にとってプラスになるという確信がありました。エントリー時点でのアイデアの質は問わず、まずは一歩を踏み出してもらって「顧客」「課題」に向き合ってもらう。第一歩目の現業への影響や負担を最小限にしつつ、徐々に案件を絞りこみながら活動を本格化させる制度設計にすることで、より多くの従業員に学びの機会を提供することを目指しました。この文化醸成の側面を持たせたからこそ、これだけの規模で実現できたのだと思います。

▲HiPro Direct事業責任者 大里

大里:応募数の多さを考えると、社員の皆さんも強い想いが募っていたとお見受けしました。皆さんの中にも沸々とした想いがあったのでしょうね。

吉田氏:1カ月半の募集で206件もの応募があったのですが、その半分以上がこれまで新規事業創出に関わってこなかった「現場」からの応募でした。応募時のコメント欄には「このような機会を待っていた」という声も多くあり、一歩を踏み出せる「場」を作ることができたのは非常によかったと感じています。

ーー社内からの反響が大きかったとのことですが、社内の機運を高めるために、どのような工夫をされたのでしょうか。

吉田氏:社内へのプロモーションに力を入れました。社内サイトやプロモーションのための動画作成、イベントなどを通して「これまでと違うぞ」と社員に感じてもらえるようにブランディングを徹底し、「とにかく一歩を踏み出して欲しい」というメッセージを強く発信し続けました。

鈴木氏:ビジネスコンテストに対して、各事業のマネジメント層からの応援コメントももらいました。会社全体として、このビジネスコンテストを後押ししている雰囲気を出せたことも、ビジネスコンテストに対しての社内の機運を高められた一つの要因です。

▲社員に向けたメッセージ動画の様子

ーービジネスコンテストを進めていく中で、事業の立ち上げフェーズにあたる後半1年は、難易度が上がると思います。サポートはどのように行っていくのでしょうか。

吉田氏:新規ビジネスの立ち上げにおいて、フェーズが進めば進むほど伴走支援も難しくなっていきます。そのため、メンタリングや立ち上げ支援の部分はプロ人材を活用して支援体制を構築していきたいと考えています。

また、事業化に伴うチームビルディングも同様にプロ人材の活用が重要になってくると思っています。営業や経理や人事など、同じ職種でも事業フェーズによって求められる能力やスキルは全く異なります。職種としてのスキルと、得意な事業フェーズの両方を満たす人材を社内リソースだけでアサインするのは非常に困難です。

そのため、プロシェアリングなどプロ人材を活用して事業フェーズに合わせたチームビルディングを行いながら、クイックに事業を立ち上げていくことが新規事業を次々と生み出していくためには必要だと考えています。

鈴木氏:化学メーカーは特に息の長い製品や事業が多いので、既存事業の継続と持続的な成長が会社を支えていますし、そこに多くのリソースを投入しています。そのため、新規事業に関わった経験を持つ社員がそもそも多くありません。だからこそ、社内リソースだけにこだわらず、柔軟にプロ人材を活用し新規事業の推進に最適な体制を構築していくことが重要だと考えています。

大里:初期はコアメンバーで固める企業が多いですが、プロ人材をうまく活用するとスピードアップにも繋がりますし、フレキシブルな体制を作れますよね。

鈴木氏:そうですね。社内の人材と社外の人材を組み合わせて、組織作りを進めていければと思います。私たちの価値創造の根幹は技術の際立ちにあります。その軸さえブレなければ、プロ人材を活用した最適なチーム作りができると思っています。

専門的なプロ人材の活用で新規事業を成長させていきたい

ーービジネスコンテストの機運が高まっている中で、どのような変化を起こしていきたいと思いますか。

吉田氏:まだ始まったばかりですが、ステージ1の採択者が顧客とその課題に向き合っている姿を見て、それを自分自身に置き換えて考える社員が増えているように感じます。

大里:ビジネスコンテストを続けていくと社内の雰囲気も変わり、その変化が社外にも伝わり、結果として中途採用や新卒採用にも影響してきそうですね。

吉田氏:積水化学は「イノベーティブで面白い会社だ」と社外の方からも思ってもらえるようになりたいですね。このビジネスコンテストに魅力を感じ、入社してくれる人が現れるようになることが当面の目標です。

ーー今後のビジネスコンテストを通して、どのような変化を社内に作っていきたいですか。

鈴木氏:プロ人材を上手く活用しながら事業を進めることが日常になれば、会社全体の事業推進力が強化されていくはずです。専門的なプロ人材とマッチングできる「HiPro Direct」の活用を社内でもっと広めていきたいと思います。

吉田氏:今後もビジネスコンテストを続けながらブラッシュアップを行い、メーカー系企業の新規事業開発のひとつのロールモデルになることを目指していきたいです。

(撮影・ライター:中 たんぺい/編集:佐野 創太/監修:HiPro Direct編集部)

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