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【HiPro Direct Networking Day 2024:イベントレポート3】Session2〜豆腐屋さんが攻めのブランディング!? 豆乳ビジネスで次世代の柱を。〜

パーソルキャリアが運営する副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォーム「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」は、企業と各専門領域の第一線で活躍するプロ人材の直接的な出会いを創出すべく、2024年3月8日に「HiPro Direct Networking Day 2024」を開催しました。本イベントのテーマは「副業で、日本の伝統と文化を改革する」です。

本レポートでは、「HiPro Direct Networking Day 2024」の「Session2〜豆腐屋さんが攻めのブランディング!? 豆乳ビジネスで次世代の柱を。〜」の内容をお送りします。

モデレーターは、一般社団法人とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点 代表理事の松井太郎氏。登壇者は株式会社楽粹 代表取締役の行光 秀夫氏と、プロ人材 大久保 祐介氏です。

1976年設立の歴史ある会社がどのようにプロ人材を活用し、新事業を成功させたのか。企業・個人双方の視点から語っていただきました。

▼登壇者プロフィール

松井 太郎

一般社団法人とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点 代表理事

ソフトバンク株式会社を経て、2016年から現職。2019年に「週1副社長」プロジェクトを立ち上げ、高度な専門性や豊富な経験を有する都市部大企業のビジネス人材等を副業・兼業や移住就職等により県内企業へ数多く誘致。また、鳥取銀行との共同出資により、鳥取県八頭町に地方創生の総合商社「あきんど太郎」を設立。次世代リーダーの育成や若手人材のキャリア自律を支援する越境学習にも取り組む。

行光 秀夫

株式会社楽粹 代表取締役

1955年生まれ。 1981年3月、米国の大学を卒業後、父の急逝によりその後の米国研修を断念し、直ちに神戸市東灘区の豆腐製造業を引き継ぐ。代表取締役に就任。 1988年、当時のスーパーマーケットを中心とした流通革命に伴い、業容の拡大を図る為、豆腐造りの基本である『良質の水』を求め、『豆腐の美味は一滴の水に有り』との信念に、鳥取県智頭町に工場を移転した。 2023年6月に新規事業として、発芽大豆を使った豆乳スイーツショップ『粒と雫』をオープン。同9月に発芽発酵豆乳のドリンク『飲む豆乳ヨーグルト』の製造開始、 新発売に至る。

大久保 祐介

プロ人材

大学卒業後、株式会社電通へ入社。マーケティング戦略やブランド戦略の立案からクリエイティブ制作、施策実行まで幅広く活動。創業期の電通デジタルへの出向やスタートアップ専門対応組織「電通グロースデザインユニット」立ち上げ等を経て、退社。その後、FinTechのスタートアップに参画し、マーケティング・広報・人事・総務・知的財産など幅広く管掌。企業価値を向上させる戦略的なコーポレートブランディングや社員の価値発揮を最大化させるインナーブランディングを推進。2019年に株式会社ケント・チャップマンを設立、同社代表取締役。

豆腐を若年層に届けたい。その思いが副業人材活用につながった

松井氏:鳥取県で「週1副社長」プロジェクトを運営しております松井と申します。「週1副社長」プロジェクトとは、鳥取県内の中小企業の経営課題の解決のため、都市部のビジネス人材の方に副業で経営の伴走支援をしていただく取り組みです。

このプロジェクトを通じて、株式会社楽粹とプロ人材である大久保さんがマッチングしました。そして、マッチングのためのプラットフォームをご提供いただいているのが、今回のイベント主催者であるパーソルキャリアのHiPro Directです。

ちなみに手前味噌ですが、この「週1副社長」プロジェクトは令和5年度全国知事会「総合部門最優秀政策」を受賞しています。それと皆さん、お手元の飲む豆乳ヨーグルトを飲まれましたでしょうか?

松井氏:今日はこの飲む豆乳ヨーグルトを含む、新たなスイーツ事業の開発秘話、どのように鳥取県のお豆腐屋さんが新しい事業に取り組んでいったのか。それに対して副業人材がどのように関わっていったのかなどをお話していきたいと思います。

では、早速ですが今回ご登壇いただくお二人のご紹介に移らせていただきます。

行光氏:株式会社楽粋の行光でございます。当社は鳥取の山奥、水が非常にきれいなところにあり、豆腐作りをしています。よろしくお願いいたします。

大久保氏:大久保と申します。大学卒業後に株式会社電通に入社し、スタートアップ一社を挟んで、今は友人と会社を立ち上げて経営をしています。2、3年前に「週1副社長」プロジェクトを知り、応募したことがきっかけで良いご縁をいただいて、本当に嬉しく思います。

松井氏:楽粋さんはお豆腐作りの老舗企業ですが、新しい事業に一歩踏み出すのは相当の覚悟が必要だったかと思います。まず、飲む豆乳ヨーグルトを開発しようと思った経緯について伺ってみたいと思います。

行光氏:当社は鳥取の智頭町で豆腐作りをして、36年を迎えます。

昔は近所に豆腐屋さんがあり、豆腐は生活に欠かせないような食材だったと認識しています。しかし、近年は若い方を中心に豆腐を食べる機会が減ってきています。また同時に、お豆腐屋さんそのものが技術の革新によって業態規模が大きくなり、豆腐屋というよりもいわゆる装置産業的な企業が増えてきています。

そうした状況の中で、若い世代の方にご提案できることはなんだろうかと、10年ぐらい考えていました。豆腐そのものを捉えてみると、植物性のたんぱくの塊ですから、体に良いのは間違いないわけです。

そこで目を付けたのが豆乳なのですが、一番の課題はおいしく仕上げることでした。新たに製造の設備を導入しなければならない、あるいは製造した商品を直販する店舗も必要だと考えていた時に、偶然「週1副社長」プロジェクトを知りました。

抱えている課題を我々の力だけでは解決できないと痛感しておりましたので、登録し、出会ったのがこちらの大久保さんです。

松井氏:大久保さんは東京で活躍されているビジネスエキスパートですが、なぜ鳥取県のお豆腐屋さんで副業をしようと思ったのでしょうか?

大久保氏:学生時代に鳥取県のジムでトレーニングをする機会があり、そこで社会に出てからも活きるような仕事の姿勢などを学びました。そうした経験から、いつか鳥取県に恩返しをしたいと考えていました。

そのなかで楽粋さんの募集を見つけ、面白そうだと思ったのが副業のきっかけです。電通時代に食品関係の企業のご支援をしていたこともあり、スキルも活かせるだろうと応募しました。

仕事を受けるときは、相手の熱量も大事だと思います。こちらだけモチベーションが高くても、ついてきてもらえなければ成果は出ないので。(そんなことも思いながら)行光さんとオンライン面談をしたら、「明後日東京でお会いしましょう」とおっしゃってくださり、フットワークの軽さに感動しました。

行光氏:フットワークというよりも、オンライン面談で大久保さんに一目惚れしたようなものなのです。自分が想像する以上のスキルをお持ちだと体感したので、すぐに会いに行きました。

松井氏:初めて副業人材を受け入れる際に、抵抗感はなかったのでしょうか?

行光氏:最初は「副業」への抵抗感はありました。ただ、面白そうということと、若い力を取り入れたいという気持ちの方が強くありました。

社員を巻き込むことで、新事業の方向性が明確になった

松井氏:大久保さんにお聞きしたいと思います。実際にプロジェクトを進めるにあたり、まず何から手をつけられたのですか?

大久保氏:伝統のある会社なので、強みがどこにあるかを理解することから始めました。コンサルをする際に否定的な意見から入る方もいるのですが、50年以上をかけて培われたご経験の中にいいものがたくさんあるので、強みを生かしたプロジェクトにすべきだと思ったのです。

そういう意味でも、行光さん以外の社員の皆さんとも話をさせていただいたり、工場を見せていただいたりする中で、大事にすべきところを掴みながら進めました。

行光氏:最初に大久保さんの提案で、10人ほどの社員とワークショップ行い「楽粋という会社の強み」を把握していただき、次のステップとしてブランディングに移れたのが非常に良かったと思います。

松井氏:社員の方も巻き込んで、一体感を持つことに気を付けられたのですね。

大久保氏:もう一つ気を付けなければならないのは「企画で終わらない」ということですね。社長と二人で企画して、実際にオペレーションをするのは別の方となってしまうと、社員の納得感や期待感が高まらないと思ったのです。

だから過去のことから、向かいたい未来の話、製造の過程や商品、営業上の強み・弱み、絶対に譲れない価値観など、さまざまな角度から社員の方々に直接伺いました。

松井氏:いきなり課題解決に向けて具体的な成果物を作るわけではなく、社員との合意形成も図りながら、次の新商品開発に全員で向かっていけるような地ならしをされたということですね。

行光氏:スイーツ開発と販売店の開店までは当初から決まっていたのですが、ブランディングはできていませんでした。しかし2回のワークショップを通じて、新事業の方向性がはっきりと見えました。

ワークショップや月数回のオンラインミーティングを密度濃く行ったこともあり、翌年の6月に店舗を開業できました。

大久保氏:今さらっとおっしゃいましたけど、相談を受けた時には設計もできていない状態だったのです。そこから一年で工場を立ち上げて、店舗までオープンさせていますので、かなりのスピード感だったと思います。

私もスタートアップにいたのでスピード感が大事だと思っていますが、鳥取県の歴史ある会社でこのスピード感でできるって、まだまだ各地にチャンスがあるんだなと思いました。

ブランディングと地道な広報活動が、特産品の最優秀賞受賞のカギ

松井氏:2022年の6月にマッチングされて、豆乳スイーツの新ブランドを立ち上げ、そこから実際にお店がオープンしたのは翌年の2023年の6月ですから、本当にぴったり一年ですね。

行光さん。この新たなスイーツブランドについてお聞かせください。

行光氏:「粒と雫」というブランドになります。先ほどのワークショップで出てきた楽粋の強みをもとに、200点ほどのデザインや数十のブランド名候補を出していただき、最後に決まったのがこの「粒と雫」です。

松井氏:大久保さんもかなりの労力をかけられたと思うのですが、仕事としてのやりがいをどのように感じられたのでしょうか?

大久保氏:日本中を飛び回って楽しそうに仕事をする行光さんの生き方が素敵だなと思いました。商品開発のために東京都内のスイーツ店を一緒に回ったり、マーケティングについて議論したりするなかで、自分もそんな生き方がしたいなと思いましたし、とても楽しく仕事をさせていただきました。

松井氏:新たに立ち上がったスイーツブランドは現在、どのような状況でしょうか?

行光氏:お客様が店舗でお買い物されるなかでご意見をお伺いし、商品の切り替えやバージョンアップを検討しています。さまざまなアドバイスをいただき、それを我々がさらに新しいものに置き換えていくことが大きなテーマとなっています。

大久保氏:あとは広報活動ですね。いままで楽粋さんは広報をあまりやってこなかったので、継続的に注目を浴びるにはどうしたらいいかを考えています。

そこで目を付けたのが自治体の補助金です。補助金を採択してくれた職員の方に、途中経過を報告することで喜んでいただき、どんどん県内でアピールしてくれるようになりました。こうした地道なファン作りを始めたことで評判も良くなり、メディアの方にもそれが伝わるという良い循環が生まれたと思います。

行光氏:こうした取り組みのなかで、9月にバージョンアップした飲む豆乳ヨーグルトが鳥取県の「食パラダイス鳥取県」特産品コンクール飲料部門にて、最優秀賞を頂戴しました。

行光氏:大久保さんのつながりでイラストレーターの伊吹春香さんにお会いできて、飲む豆乳ヨーグルトのデザインも刷新することができました。

大久保氏:私はできるだけ人が持っている長所を生かしながら、それが結びつくことで良いプロジェクトになったらいいなと思い仕事をしているので、実現できて嬉しいです。

副業先・副業人材の決め手は人柄や熱量

松井氏:ここからは参加者より届いている質問にご回答いただきたいと思います。副業人材を受け入れる際のポイントを行光さんお答えいただけますか?

行光氏:デジタル化された世の中ですが、仕事の根底にあるのは「人との付き合い」だと思います。特に地方の会社は人間関係を大事にするので、私自身も人柄の部分が気になっていました。

オンラインではわからない部分も多いので、私の場合は大久保さんに対面でお話する機会を作っていただきました。短い時間の中で自分が持っている課題をぶつけ、それに対してどんな反応があったか、その瞬間に人を見極めなければならない厳しさはあります。大久保さんに関しては一目惚れしましたし、私が想定した以上の力を発揮いただきました。

松井氏:反対に副業をする個人の視点で、副業先の見極め方を大久保さんにお聞きしたいと思います。

大久保氏:副業先が良いか悪いかということよりも、相性が大事だと思います。経営者または担当者との価値観が合うと、お互いに良い仕事ができると思います。あとは企業側の熱量がどの程度あるのかを見極めることが重要ですね。

松井氏:次の質問ですが、「地方副業に関して出身県ではなくてもその地域に貢献したいという思いを持つ方はいらっしゃるのでしょうか?」と来ています。大久保さんの場合はどうでしたか?

大久保氏:自分自身がもともと日本全国を旅していたこともあり、それぞれの土地に魅力があると思っています。また、自分の知らない世界を知ることや、自分が価値発揮することが幸せにつながると思っていますので、お金以外の価値を求めて地域貢献したい人はいると思います。

松井氏:「週1副社長」プロジェクトで、アンケートを取ったことがありまして、副業するにあたり鳥取県とご縁があった方はたった12%です。逆に言うと90%弱は、このプロジェクトを通じて鳥取県の存在を改めて認識したということなので、出身県でなくても想いをもって地方副業をしたい人はたくさんいらっしゃると思います。

地方副業は人生のタイムマシン経営

松井氏:最後に企業経営者の方や人事部の方へ、副業人材活用のメリットや活用の仕方についてメッセージをいただけますでしょうか。

行光氏:経営者として会社の強みと弱み、特に弱みの部分をしっかりと客観的に把握しておくことが重要です。その上で課題に対して迅速にご協力いただける方を見極めるのが、経営者としての仕事だと思います。

松井氏:では、副業したいけれどなんとなく不安で、まだ一歩を踏み出せないという方に対して、大久保さんより一言メッセージ頂戴できますでしょうか。

大久保氏:副業は自身の経験として、成長のチャンスだと思います。かたや、中小企業を支援することは、自分の効力が大きいわけです。なので、副業先の企業に良い影響も悪い影響も与えてしまう可能性があります。

責任感を持ちながら、自分の成長のチャンスとしても捉えていただき、ぜひ積極的に関わっていただけると日本がもっと豊かになるのではないかと思います。

松井氏:鳥取県の人口は約53万人、全国47都道府県人口最少です。高齢化率も30%を超えており、未来の東京が今の鳥取にあるとイメージいただくとよいかもしれません。地方副業は人生のタイムマシン経営です。一歩先の時代の状況を味わい、都市部に経験を持ち帰ることで人材側にも企業側にも大きなメリットあると思います。

ぜひ地方副業を通じて皆さんのキャリアアップ、これからの企業の成長につなげていただければ幸いです。

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